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2023年6月施行|特商法改正のポイントと対応策を徹底解説

消費者の利益を守ることを目的とし、事業者による違法な勧誘行為や悪質な勧誘行為等を規制する法律が特定商取引法(特商法)です。
2021年6月9日に特定商取引法等を改正する法律が成立し、2022年には、クーリング・オフの通知の電子化対応などが改正されました。
改正内容の中で施行がされていなかったのが、事業者が交付すべき書面(契約書面等)の電子化対応となりますが、2023年6月1日に一定の要件を満たすことで契約書面等を電子交付できるように改正されました。
今回は特商法について改正のポイントと最新の改正の内容について解説いたします。

特定商取引法(特商法)とは

特商法とは

特定商取引法とは、事業者と消費者間における契約において、特に消費者が被害にあいやすい取引類型に対して、一定の規制を定めることにより消費者の利益を保護することなどを目的として制定されている法律です。
具体的な取引としては、訪問販売や通信販売、連鎖販売取引、などについて事業者が守らなければならないルールと、クーリング・オフといった消費者を守るためのルールが定められています。

事業者側への規制として、広告表示の規制や書面の交付義務といった規制が取引類型ごとに定められております。
はじめに、対象となる取引類型の代表的な取引内容について確認しておきましょう。

訪問販売とは

消費者の自宅等へ事業者の担当が訪問し、商品やサービスの販売や役務提供を行う契約をする取引が訪問販売です。
訪問販売は、いわゆる無店舗販売の一種で、キャッチセールスやアポイントメントセールスも含まれます。
消費者側は自宅等にいながらも欲しい商品を購入できる利点がある一方で、商品の比較の機会や必要性を検討する余裕を持つことができず、高圧的なセールスによって契約してしまうというリスクが懸念されます。

通信販売とは

新聞や雑誌、インターネットといった媒体を通じて広告を行い、電話や郵便等の通信手段で申し込みを受ける取引が通信販売です。現代では馴染の深い取引類型かと思います。店舗まで足を運ばなくても豊富な品揃えの商品から必要な商品を購入できる利点がございますが、消費者側のリスクとしては、商品の実物を見ないで注文することになるためトラブルにつながりやすい点があげられます。
なお、通信販売は次に紹介する電話勧誘販売を除きます。

電話勧誘販売とは

事業者が消費者との電話を媒介して申し込みを受ける取引が電話勧誘販売です。電話を終えた後に、郵便等で申し込みを行う場合も電話勧誘販売に該当します。対面で申し込みを行わない点で通信販売と同様に捉えられますが、電話勧誘販売ではクーリング・オフ制度があるのに対して、通信販売にはクーリング・オフの制度がなく、事業者側の返品特約に従う形となる点などで大きく異なります。
なお、2023年6月1日の法改正により、電話勧誘販売の対象となる要件が拡大されております。
注意が必要なのが、電話で注文受ける際にアップセルやクロスセルをするといった行為です。これまでも、事業者側からの電話(アウトバウンドコール)によるアップセルやクロスセルは電話勧誘販売の対象として規制されてましたが、今後は電話で受注する際にも注意が必要となります。

連鎖販売取引とは

販売員(会員)となる個人が、次の販売員(会員)を勧誘させる形で販売する組織を連鎖的に拡大する取引が連鎖販売取引です。
俗称として「マルチ商法」として知られております。
近年ではスマホ等のコミュニケーション端末の発展によりSNSなどの交流サイト等で勧誘するといった手法も広がっております。
特商法では、連鎖販売業を行う物が連鎖販売取引についての契約を行う場合には、連鎖販売業の概要を記載した概要書面を渡さなければならないことや、概要書面に記載すべき事項が定められております。
また契約締結後も、遅滞なく契約内容について明示した契約書面を渡さなくてはならないと定めております。

特定継続的役務提供とは

高額な対価を得ることで長期・継続的に役務を提供する取引を特定継続的役務提供といいます。
対象となる役務は7種類ございます。
・エステティック
・美容医療
・語学教室
・家庭教師
・学習塾
・結婚相手紹介サービス
・パソコン教室
それぞれに対し、期間と金額(5万円を超えるもの)に応じ、対象となるサービスを規制しております。

特定継続的役務提供を行う際には、契約締結前に概要書面、契約締結後には契約書面を消費者へ渡さなければなりません。
2023年6月の法改正前までは、これらの書面は紙での交付が義務づけられておりましたが、消費者からの事前の承諾などの要件を満たすことで、電子交付(データでの交付)も認められるようになりました。

業務提供誘引販売取引とは

仕事の提供を口実として、仕事に必要であるとする商品等を購入させる取引が業務提供誘引販売取引です。
例えば、「パソコンを使って直ぐにはじめられる在宅ビジネス」などと広告しパソコンを購入させるといったケースや、「健康寝具のモニター募集」といった形でモニターに使用する寝具を購入させるといったケースです。

訪問購入とは

消費者の自宅へ訪問し商品やサービスを販売するのが訪問販売に対して、訪問購入とは、消費者の自宅へ不用品等を買い取るとして訪問し、貴金属や着物などを買い取っていく取引をいいます。
不用品を処分でき対価が得られるなら問題ないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、訪問購入では、ブランド品などを安価で買い叩かれたり、意図しない商品を買い取られたりといったトラブルにつながるケースがございます。

2022年6月の改正のポイント

今回は、2023年6月の法改正の内容について詳しく解説しますが、先に、2022年6月での改正内容についても簡単に確認しておきましょう。

クーリング・オフ書面の電子化対応

クーリング・オフとは、クーリング・オフ期間中であれば無条件で契約の撤回や解除ができる制度です。
特商法のうち、訪問販売・電話勧誘販売・特定継続的役務提供・訪問購入には8日間のクーリング・オフ期間が定められております。
また、連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引には20日間のクーリング・オフ期間が定められております。
2022年の法改正前までは、クーリング・オフの通知は、書面により行う必要がございました。
改正により、消費者はメール等の手段を用いてクーリング・オフの通知を電子交付できるようになりました。

通信販売の規制強化

2022年の改正の二つ目は通信販売における規制強化です。
サブスクに代表される定期購入型のサービスにおける消費者の不利益を防ぐため、通信販売の申込書面やECサイトの注文確認画面における記載事項が定められました。

行政処分の強化

また、2022年の改正では、事業者が改正内容に違反した場合における行政処分についても実効性が強化されました。
具体的には、業務停止や業務禁止命令の対象となる役員等の範囲が拡大されております。

【2023年6月】特商法改正のポイント

法改正ポイント

それでは、今回のテーマでタイトルにもあります、2023年6月に施行された特商法改正のポイントを確認していきましょう。

契約書面等の電子化に係る規定が新設

今回の改正により、従来書面での交付が義務づけられていた契約書面等について、電子交付による方法が認められるようになりました。
電子交付を行う際には、消費者からの事前の承諾を得ることや、承諾を得るための手続きおいて詳しく規定されております。

契約書面等に対するこれまでの取り扱い

これまでの特商法の規定では、契約書面等において事業者は、消費者に対して書面を交付する義務がございました。
紙での交付が必要であり、メールなどによってデータで送信することは認められておりませんでした。
また交付が必要な書面を渡さなかった場合や、記載事項に漏れがあったり、虚偽の内容が記載されていた場合などへの罰則についても特商法は定めております。

契約書面等に対して改正により可能になること

冒頭でも触れさせていただきましたが、これまで、例えば特定継続的役務提供を行う際に消費者へ渡す必要があった「概要書面」「契約書面」は、消費者からの事前承諾などの一定の要件を満たすことにより、電子交付が可能になりました。
なお詳しい要件については引き続き消費者庁からガイドライン等が公表される予定です。

電子化が可能な書面は3種類

電子化が可能な書面

電子交付が可能となる書面は次の3つです。
3つをまとめて「契約書面等」とします。

概要書面

特商法に該当する取引において、取引等の概要について記載した書面をいいます。
連鎖販売取引、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売において交付が義務付けられております。

申込書面

申し込みする内容を記載する書面をいいます。
訪問販売、電話勧誘販売、訪問購入において、事業者が申し込みを受けた際に交付する義務がございます。
なお、申し込みと同時に契約を締結する場合には交付不要となります。

契約書面

契約の内容を明らかにするための書面です。
特商法の取引類型のうち、通信販売を除くすべての取引において交付が義務付けられております。

契約書面等を電子化する流れ

電子化する流れ

契約書面等を電子化するために必要となる手続きと流れについて確認していきましょう。

事前の承諾

まず消費者からの承諾が必要となります。
承諾を得る手続きは、電子交付を行う書面ごとに必要となりますので、概要書面・申込書面・契約書面とそれぞれで必要となるという点に注意しましょう。
承諾を得る手続きとしては、提供する種類や内容を提示すること、重要事項の説明、適合性の確認、書面等による承諾の取得と控え書面の交付、と必要な手続きが細かく定められております。
例えば適合性の確認については、消費者が交付されたデータを確認するために使用するパソコン等のOSやツールについて、提供元となるソフトウェアメーカー等のサポートが終了していないことなどを事前に確認できる必要がございます。

電磁的な方法による提供

電子交付する際に実施可能な電磁的方法は次のとおりです。
・メール等でのデータの送信による方法
・事業者のウェブサイト等に掲載し、消費者が閲覧できるようにする方法
・USB、CD-Rなどの記録媒体にデータ保存し、同媒体を交付する方法
また、「データを出力して書面に印刷できるものであること」「データの改変が行われていないかを確認できる措置が取られていること」といった適合基準も定められております。
提供するデータにおいても「明瞭に読むことができる」ようにしなければなりません。例えば背景が赤字であるのに赤字の文字で表示するなどは明瞭に読むことができませんので修正が必要です。

提供実施の確認

事業者は電子交付によって契約書面等を交付した際に、消費者に対し、提供したデータがきちんと到達しているのかを確認しなければなりません。
その為、事業者側は到達において何かしら記録が残る方法を用意しておく必要がございます。

契約書面等の電子化はDX-Signへお問い合わせください

書面交付義務においては適切な対応で行われなかった場合の義務違反について刑事罰も含めて規定がされております。
今回はポイントについて解説しておりますが、詳しい運用や流れについてはひとつひとつを確認しておく必要がございます。
電子契約DX-Signでは、顧問弁護士監修のもと、改正特商法に沿った運用の構築などをお手伝いさせていただいております。
電磁的な方法による提供の要件に沿った各種機能の用意もございますので、契約書面等の電子化をご検討の際は一度お問い合わせよりご連絡いただければと思います。

顧問弁護士:
淵邊 善彦 弁護士(ベンチャーラボ法律事務所)
佐藤 文平 弁護士(ベンチャーラボ法律事務所)

まとめ

契約書面等の電子化は、事業者や消費者の利便性の向上につながるものではございますが、特商法のそもそもの概念である消費者保護の観点から、完全な電子化が行えるというものではなく、電子化にあたっても様々な要件を満たす必要がございます。
DX-Signでは、今後も消費者庁からのガイドライン等を参考にしながら随時、最新の情報をお届けしてまいります。

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記事執筆者 / 記事監修者

DX-Sign メディア編集室

株式会社クロスベイターマーケティング部 時田・秋山

 
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